
インビザライン矯正は治療期間が長くなることが多く、中には「治療期間を短縮できる加速装置や方法はないだろうか」と考える患者さんもいるのではないでしょうか。
そこでおすすめしたいのが、インビザラインと併用して治療期間を短縮する加速装置です。加速装置を活用することにより、治療期間を最大で半分程度に短縮できる可能性があります。加速装置といっても自宅でセルフケアできる製品のため、手軽に進められるのがメリットのひとつです。
この記事では、加速装置の仕組みや種類、メリットやデメリット、加速装置の使用がおすすめの人などについて紹介します。インビザライン矯正の治療期間を短縮したい方は参考にしてください。
インビザラインの加速装置とは

インビザラインの加速装置は、歯の移動を促して治療期間を短縮するための補助的な機器です。ここでは、加速装置の特徴や種類、使用方法などについて紹介します。
インビザラインの加速装置の特徴
インビザラインの加速装置は、矯正治療で歯の移動をスムーズに進めるために使われる補助的な装置です。
以下のような特徴があります。
- 歯の周囲にある組織や細胞を活性化させて骨の代謝を促す
- 歯が移動する際に生じる炎症を抑えやすい
このような仕組みにより、加速装置を使わない矯正治療よりも早いペースで歯の移動が期待できるため、治療期間を短縮できる可能性があります。装置の大きさはマウスピースよりもわずかに大きい程度で、使用時や保管に場所を取る心配もありません。
加速装置の使用はインビザラインなどのマウスピース矯正だけではなく、ワイヤー矯正での適用も可能なため、幅広い層の患者さんが使用を検討できるでしょう。
光加速装置
加速装置のひとつ「光加速装置(PBM:Photobiomodulation)」は、特定の波長を持つ近赤外線光を歯の周辺組織に照射し、歯の移動を促します。
近赤外線を当てることにより、細胞内のミトコンドリアが刺激を受け、細胞のエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)が増加します。このようなステップに伴い、歯を支える骨の代謝が活発になり、歯の移動スピードが上がるという仕組みです。
また、血流をよくすることで炎症を鎮める働きも期待できるため、新しいマウスピースに交換した時の圧迫感や痛みを軽減しやすいでしょう。
振動加速装置
振動加速装置は、細かくて周波数の高い振動を直接歯に伝えて歯の移動を促す機器です。
微細な振動を与えて歯周組織の血行を促進し、細胞活動に必要な酸素や栄養素をスムーズに供給します。その結果、骨の代謝が活発になり、歯の移動を早める効果が期待できるという仕組みです。
このほか、振動の力でマウスピースを歯へしっかりと密着させる「シーティング効果」も期待できます。マウスピースがしっかり歯に密着していれば、マウスピースの矯正力もしっかり歯に伝わるため、より適切に治療計画を進められるでしょう。
歯全体に振動が加わる作用で痛みを和らげる働きもあるため、マウスピース交換直後の痛みや不快感が心配な患者さんにもおすすめです。
加速装置の使用方法
加速装置の効果を引き出すためには、適切な方法で毎日継続使用することが大切です。
加速装置の種類や医師の指導によって多少の違いはありますが、それぞれ以下の使用時間が一般的です。
| 加速装置の種類 | 使用時間の目安 |
|---|---|
| 光加速装置 | 上下の歯にそれぞれ約4~5分ずつ、合計約8~10分間 |
| 振動加速装置 | 1日に約10~20分 |
「早く歯を動かしたい」と考えて長時間使いすぎると、かえって歯や歯茎に余計な負担をかけてしまう恐れがあります。医師の指導のもと、適切な使用時間を守りながら治療を進めていきましょう。
使用前には歯磨きをして、使い終わった装置は洗浄して清潔に保ってください。お手入れも難しくなく、装置の種類によっては水で丸洗いできる製品もあります。
インビザラインで加速装置を使用するメリット

加速装置は治療期間の短縮のほか、さまざまなメリットがあります。ここでは、インビザラインで加速装置を使用する具体的なメリットについて紹介します。
治療期間を短縮しやすい
加速装置を導入するメリットのひとつに、インビザラインの治療期間を短縮できる可能性が高くなることが挙げられます。
通常のマウスピース矯正では、歯の動きに合わせて1週間から10日ほどの間隔で新しいアライナー(マウスピース状の矯正装置)へ交換する流れが一般的です。
しかし加速装置を使用して、光や振動による細胞の活性化を利用すれば、その期間を短縮し、例えば3~5日という短いサイクルで次のアライナーに交換しやすくなります。このようなペースアップが積み重なれば、治療期間を月単位で短縮できるケースも期待できるでしょう。
結婚式や就活などの重要なイベントを控え、できるだけ早く綺麗な歯並びを手に入れたいという患者さんにとってもおすすめのメリットです。
治療期間中の痛みを軽減しやすい
加速装置を使用すれば、歯が移動する際に発生する痛みを抑えやすくなります。
インビザラインはワイヤー矯正に比べて痛みが少ない傾向ですが、それでも新しいマウスピースに交換した直後は締め付けられるような圧迫感が生じやすいです。
光加速装置の近赤外線は、血流をよくして組織の治癒を促す作用が期待できるため、痛みに敏感な患者さんでもストレスを軽減しながら治療を進めやすくなるでしょう。
また、振動加速装置の振動も血行をよくし、痛みを軽減する効果が期待できます。快適な装着感を維持しやすい点は、矯正治療を順調に進めるために役立つメリットです。
自宅で手軽にできる
加速装置はシンプルな構造で、使用する時に特別な技術や資格が不要なため、自宅で手軽に扱えます。
光加速装置の場合、上下の歯にそれぞれ約4~5分ずつ、1日に約8分~10分くわえるだけのステップです。
振動加速装置の場合も、1日に10分~20分ほど装着して作動させるだけで効果が期待できるため、隙間時間や寝る前、リラックスタイムなどに行えるでしょう。ライフスタイルを崩さずに続けられる手軽さで、毎日の習慣にしやすく、無理なく治療のスピードアップを目指せます。
充電タイプなら持ち運びもできる
加速装置の多くはコンパクトなサイズで作られており、充電式のタイプなら場所を選ばずに使用できることもメリットです。
充電式ならコンセントのない場所でも作動するため、自宅だけではなく、旅行や職場、出張先などにも手軽に持って行き、欠かさずに使用できるでしょう。忙しくて家にいる時間が不規則な患者さんや、長期の旅行・出張を予定している患者さんでも、計画通り継続的に使用できます。
加速装置は矯正治療で「必ず使用しなくてはならない」というものではありませんが、自分のペースを乱さず欠かさず続けられることは、治療期間を短縮したい患者さんにとって嬉しいメリットです。
インビザラインで加速装置を使用するデメリット

インビザラインの加速装置は便利ですが、導入する前に知っておきたいデメリットもあります。ここでは、インビザライン矯正で加速装置を使用するデメリットについて紹介します。
追加費用が必要になる
加速装置を導入する際、矯正の基本料金とは別に加速装置のオプション費用が発生することがほとんどです。
矯正治療自体、原則として健康保険の適用されない自由診療のため高額になりやすいうえに、加速装置の費用が新たに発生することになります。
加速装置の具体的な金額は種類によって異なりますが、光加速装置で約5~15万円、振動加速装置で約2~7万円が一般的です。
決してリーズナブルではない金額のため、期間短縮というメリットと追加費用のバランスを検討してから、無理のない範囲で導入を決定するとよいでしょう。
毎日の継続が必要
加速装置を使って期待通りの期間短縮効果を目指すためには、毎日の継続的な使用が欠かせないため、自己管理が難しい患者さんにはデメリットだと感じる可能性があります。
加速装置の1日あたりの使用時間は数分~20分程度であり、決して長くありませんが、習慣化ができないと継続することは難しいです。数日連続で使用を怠ると効果が得にくく、結局は加速装置を使用しない治療期間とあまり変わらない治療期間になってしまう恐れがあります。
また、その際にはせっかく払った加速装置の追加費用が無駄になってしまうでしょう。ご自分の性格やライフスタイル、治療期間中のスケジュールなどを確認してから使用を決めましょう。
取り扱っていない歯科医院もある
加速装置の使用を希望しても、すべての矯正治療で導入されているわけではなく、歯科医院によっては使えないことがあります。
加速装置の使用を前提として矯正治療を始めたい場合は、あらかじめ対応している歯科医院を探すとスムーズに進められます。なお、費用を抑えたり自己流で進めようと考えたりして、フリマアプリなどで安価な中古品を購入することはおすすめできません。
衛生面や機能劣化のリスク、メーカー保証が受けられない可能性などが懸念されるため、必ず正規に取り扱っている歯科医院で相談しましょう。
通院回数が増えやすい
歯の動くスピードが早まる反面、通院頻度が増加しやすい点も加速装置を使用するデメリットのひとつです。
通常のアライナー交換は1週間から2週間ごとに行われますが、加速装置を併用すると数日早まることが多いです。この速度に合わせて、歯科医院の定期的な受診回数が増える可能性があります。
歯の動きが早いと最初の治療計画とのズレも早くなりやすく、細かい確認が必要になるためです。頻繁な通院が難しいライフスタイルの患者さんは、開始前に無理のないペースをよく相談しておくことをおすすめします。
インビザラインの加速装置がおすすめの人

インビザラインの加速装置を使用するかどうかは、ご自身の希望や心配と比較しながら決めることが大切です。ここでは、インビザラインの加速装置がおすすめの患者さんについて紹介します。
治療期間を短縮したい人
結婚式や就職活動、成人式や留学など、「口元をきれいにしてから大切なイベントに臨みたい」という目標があり、そのタイミングまであまり時間がない患者さんにとって、加速装置は心強い味方になります。
また、「長期間の治療がストレスになるかもしれない」という心配がある患者さんにもおすすめです。少しでも早く歯並びを整えたいと強く望んでいるのであれば、加速装置の使用は効果的な選択になるでしょう。
治療期間中の痛みに敏感な人
インビザラインは比較的痛みの少ない治療法ですが、新しいアライナーへ交換した直後には痛みが出やすくなっています。
しかし加速装置を使用することにより、光加速装置の近赤外線や振動加速装置の微細な振動の効果で、このような痛みを軽減できる可能性があります。痛みに対して強い不安や恐怖心を抱いている患者さんにとっても、加速装置の併用はおすすめです。
自己管理ができる人
加速装置の効果を実感するためには、毎日の継続的な使用が欠かせません。
そのため、自己管理能力が高く、ライフスタイルの中で加速装置の使用を習慣化できる患者さんに向いています。
インビザライン自体、1日20時間以上のマウスピース装着が推奨されているうえに、加速装置を使う場合はさらに1日約4~20分の使用時間を毎日確保する必要が生じます。
忙しい生活の中でも決められたルーチンを忘れずにこなし、「治療を早く終わらせる」というモチベーションを維持できる性格なら、加速装置を効果的に使いこなせるでしょう。
難症例で治療期間が長い人
歯並びの乱れが大きく、もともとの治療計画が3年以上に及ぶような複雑な症例の患者さんにも加速装置の導入がおすすめです。
治療期間がとても長い場合、毎日のマウスピース管理やケアに対するモチベーションを保つのが難しくなるかもしれません。
長期間にわたる治療の身体的、精神的な負担を少しでも軽くし、目に見える変化を早く実感したいと考える患者さんにとって、加速装置の導入は意義のある選択になるでしょう。
まとめ
インビザラインの加速装置を使用すると、治療期間を短縮したり、痛みを和らげたりする可能性が高くなります。自宅で手軽にできるため、ライフスタイルの中に無理なく取り入れやすい点や、充電タイプなら外出先にも持ち運んで継続的に使用できる点など、多くのメリットを感じられるでしょう。
使用する際には追加費用や通院スケジュールの見直しなどが必要になりますが、いずれも歯科医院で細かい説明を受け、綿密な調整を心がけましょう。
Shiro矯正歯科では、インビザラインの治療期間を短縮したい方にもご相談いただけます。また、「加速装置を使うほどじゃないけど、順調にインビザラインの治療を進めるコツを知りたい」というご相談にも対応しています。加速装置やインビザラインの治療を順調に進めるコツなどについて知りたい方は、ぜひお気軽にご来院ください。



