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歯ぎしり・食いしばりがある方のインビザライン治療|知っておきたいリスクと対処法

歯ぎしり・食いしばりがある方のインビザライン治療|知っておきたいリスクと対処法

「歯ぎしりや食いしばりの癖があるけど、インビザライン矯正はできるのだろうか」「治療中にマウスピースが割れたり、歯ぎしりのせいで治療がうまく進まなかったりしないだろうか」こうした不安から、矯正治療に踏み出せずにいる方は少なくありません。

結論から言うと、歯ぎしりや食いしばりがあっても、程度や症状によってはインビザライン治療を受けられます。ただし、いくつかのリスクや注意点があるのも事実です。

この記事では、歯ぎしり・食いしばりがインビザライン治療に与える影響から、日常で取り組める対処法、万が一マウスピースが破損した場合の対応まで、詳しく解説します。

歯ぎしり・食いしばりが招くインビザライン治療の4つのリスク

歯ぎしり・食いしばりが招くインビザライン治療の4つのリスク

歯ぎしりや食いしばりの癖がある方がインビザライン治療を始める場合、知っておきたいリスクがあります。事前に知っておくことで、歯科医師と一緒に対策を立てやすくなります。

矯正中はナイトガードが使えない

インビザライン治療中は、歯ぎしり対策として使われるナイトガード(就寝用マウスピース)を併用できません。

インビザラインのマウスピースは1日20時間以上の装着が推奨されており、就寝中も装着し続ける必要があるためです。

両方を同時につけることはできないため、矯正期間中は別の方法で歯ぎしり対策を行う必要があります。

マウスピースが破損・変形する

通常の食事での噛む力に比べて、歯ぎしりや食いしばりでは数倍の力がかかることもあり、歯や顎関節への負担が大きくなります。

このような強い力が繰り返し加わると、マウスピースに穴が開いたり、形が歪んでしまったりする恐れがあります。破損・変形したマウスピースを使い続けると、歯に正しい方向の力が伝わらなくなり、矯正の進行に悪影響を及ぼしかねません。

矯正後に後戻りしやすくなる

矯正治療を終えた直後の歯は、新しい位置にまだ完全には固定されていない不安定な状態です。この時期に歯ぎしりや食いしばりで強い力が繰り返しかかると、まだ安定していない歯が押されて動いてしまい、元の位置に戻る『後戻り』が起きやすくなります。

通常、矯正後はリテーナーと呼ばれる保定装置を使って歯並びを安定させますが、歯ぎしりの力が強い場合はリテーナーだけだと後戻りを抑えきれないケースも珍しくありません。そのため、矯正後もリテーナーの装着と並行して歯ぎしり対策を続けていくことが重要となります。

治療計画に遅れが生じる可能性がある

歯ぎしりや食いしばりによってマウスピースが破損すると、作り直しが必要になり、治療期間が延びる可能性があります。

インビザラインのマウスピースは海外で製造されているため、作り直しの場合は手元に届くまでに数週間かかるのが一般的です。その間は矯正治療を進められず、当初の計画よりも完了時期がずれてしまいます。

また、破損や変形が軽度だと本人が気づかないまま装着を続けてしまうケースもあります。この場合、歯が計画とは違う方向に動いてしまい、治療計画そのものを立て直さなければならなくなるため、さらなる遅れにつながるでしょう。

歯ぎしり・食いしばりが歯や身体に与える悪影響

歯ぎしり・食いしばりが歯や身体に与える悪影響

歯ぎしりや食いしばりは、インビザライン治療への影響だけでなく、歯や全身の健康にもさまざまな悪影響を及ぼします。

歯のすり減りやひび割れ、詰め物が取れる

歯の一番外側にあるエナメル質は人体で最も硬い組織ですが、長期間にわたって強い力がかかり続けると、少しずつ削れていきます。最終的に歯が欠けたり、割れたりするケースも少なくありません。

また、過去に治療した詰め物や被せ物も歯ぎしりの影響を受けることがあります。通常の噛む力には耐えられる素材であっても、歯ぎしりによる過剰な力が繰り返し加わると、取れたり破損したりする可能性があります。

こうした事態を防ぐためにも、早めに歯科医師に相談して歯ぎしりや食いしばり対策を行いましょう。

知覚過敏や歯周病が悪化する

エナメル質がすり減って内側の象牙質が露出すると、冷たい飲み物や熱い食べ物の刺激が神経に伝わりやすくなり、知覚過敏の原因になります。加えて、歯ぎしりや食いしばりは歯茎にも大きな負担をかけます。

強い力で歯が繰り返し揺さぶられると、歯茎が少しずつ下がって歯の根元が露出し、歯周病が進行しやすくなるのです。

すでに歯周病がある方は、歯ぎしりによって症状がさらに悪化するリスクがあるため、早めに歯科医師に相談するようにしましょう。

顎関節症や頭痛、肩こりの原因になる

歯ぎしりや食いしばりは、顎の関節や周囲の筋肉に過剰な負担をかけ続けるため、さまざまな不調を引き起こす可能性があります。顎への影響としてまず挙げられるのが、顎関節症です。

口を開けるときの痛みやカクカクとした音、口が大きく開かないといった症状が生じ、放置すると食事や会話にも支障が出る場合があります。

さらに、顎の筋肉はこめかみや首、肩の筋肉ともつながっているため、顎周りの緊張が頭痛や肩こり、首の張りとして現れるケースも少なくありません。

エラが張るなど顔の輪郭に変化が現れる

歯ぎしりや食いしばりが習慣化すると、顎の筋肉(咬筋)がトレーニングされたように大きくなり、エラが張って見えるようになることがあります

「最近、顔が四角くなった気がする」「フェイスラインが以前と違う」と感じる場合は、歯ぎしりや食いしばりの癖が関係している可能性があるでしょう。見た目の変化が気になる方は、一度歯科医師に相談してみてください。

インビザライン治療は歯ぎしり・食いしばりがあっても程度によっては可能

インビザライン治療は歯ぎしり・食いしばりがあっても程度によっては可能

歯ぎしりや食いしばりの癖があるからといって、インビザライン治療を受けられないわけではありません。

例えば、日中に食いしばりの自覚はあるものの、意識すれば力を抜ける方や、軽度の歯ぎしりで歯やマウスピースに大きなダメージが出ていない方であれば、治療を受けられる可能性は十分にあります。

一方で、長時間にわたる重度の歯ぎしりが続いていたり、すでにマウスピースの破損を繰り返していたりする場合は、ワイヤー矯正など別の治療方法が適している場合があります。治療前に歯ぎしりや食いしばりの状態を歯科医師に伝え、自分に合った治療計画を立ててもらうことが大切です。

インビザライン中の歯ぎしり・食いしばりへの対処法

インビザライン中の歯ぎしり・食いしばりへの対処法

インビザライン治療中にナイトガードが使えない以上、日常生活のなかで歯ぎしりや食いしばりを抑える工夫が必要です。ここでは、自身で取り組める対策を紹介します。

リラックスする時間を作る

ストレスは歯ぎしり・食いしばりの原因の一つとされているため、意識的にリラックスする時間を設けることが大切です。

深呼吸やストレッチ、入浴、音楽を聴くなど、自分に合ったリラックス方法を見つけて日常に取り入れてみてください。

特に就寝中は歯ぎしりが起こりやすい時間帯でもあるため、寝る前にゆっくりお風呂に浸かったり、軽いストレッチをしたりして、心身を落ち着かせた状態で眠りにつく習慣を作ってみましょう。

睡眠の質を高める工夫をする

歯ぎしりは眠りが浅いときに起こりやすいことがわかっています。そのため、深い眠りを得られるようになることで、歯ぎしりの頻度を抑えられる可能性があります。

具体的な工夫として、以下を試してみてください。

  • 寝室を暗く静かに保ち、適温を維持する
  • 就寝前のカフェイン摂取を控える
  • 寝る1時間前からスマートフォンやパソコンの使用を避ける
  • 自分の体に合った枕やマットレスを選ぶ

また、仰向けで寝ることも大切です。うつ伏せや横向きの姿勢は顎に余計な圧力がかかりやすく、歯ぎしりや食いしばりを引き起こしやすくなるといわれています。

日中の食いしばりを意識的に改善する

日中の食いしばりは、気づくことが改善の第一歩です。本来、リラックスしている状態では上下の歯は接触せず、2〜3mmほどの隙間が空いています。

しかし、パソコン作業や勉強、車の運転など集中しているときに、無意識に歯を食いしばっている方は多いです。まずは、上下の歯が触れているかどうかを定期的にチェックする習慣をつけましょう。パソコンやスマートフォンに、『歯を離す』と書いた付箋を貼っておくなど、リマインダーを活用するのも一つの方法です。

口周りの筋肉をほぐすマッサージを行う

歯ぎしりや食いしばりが続くと顎周りの筋肉が硬くなるため、日常的なマッサージでほぐしてあげるのも一つの対策法です。

やり方は簡単で、歯をギュッと噛み締めたときに硬くなる部分(咬筋のある場所)に指を当て、小さな円を描くように30秒ほどやさしくマッサージするだけです。

入浴中やお風呂上がりなど、体が温まっているタイミングで行うとより筋肉がほぐれやすくなります。痛気持ちいい程度の力加減で、無理に強く押さないようにしましょう。

歯科医院で歯ぎしり・食いしばりの治療を受ける

セルフケアだけでは改善が難しい場合は、歯科医院での専門的な治療を検討しましょう。

歯ぎしりや食いしばりの治療方法としては、噛み合わせの調整やボトックス治療(咬筋へのボツリヌストキシン注射)などがあります。噛み合わせに問題がある場合は、矯正治療によって歯並びを整えることで、結果的に歯ぎしりの軽減が期待できるケースもあります。

また、インビザライン治療中に歯ぎしりの悪化が見られた場合には、治療計画の調整やマウスピースの設計変更といった対応が可能です。気になる症状がある方は、早めに担当の歯科医師に相談しましょう。

インビザラインのマウスピースが歯ぎしり・食いしばりで破損した場合の対処法

インビザラインのマウスピースが歯ぎしり・食いしばりで破損した場合の対処法

どれだけ注意していても、歯ぎしりや食いしばりによってマウスピースが破損してしまうことはあります。万が一の際に慌てないよう、正しい対処法を知っておきましょう。

まずは担当の歯科医師にすぐに連絡する

マウスピースにひび割れや変形、穴あきなどの異常を見つけたら、できるだけ早く担当の歯科医師に連絡してください。

自己判断で対処するのではなく、まずは歯科医院に連絡し、どのように対応すべきかの指示を仰ぎましょう。破損の程度が軽ければ修理で対応できる可能性があり、作り直しが必要であれば早く手配を進めることで治療の遅れを抑えられます。

また、一つ前の段階のマウスピースを装着して後戻りを防ぐよう指示されることもあるため、使い終わったマウスピースはすぐに捨てずに保管しておくことをおすすめします。

自己判断で破損したマウスピースを使い続けない

破損したマウスピースをそのまま使い続けると、歯が計画とは違う方向に動いてしまったり、割れた部分で口の中を傷つけてしまったりする可能性があります。

「少しのひび割れだから大丈夫」と思っても、見た目にはわかりにくい変形が起きていることは珍しくありません。

少しでも異変を感じたら使用を中止し、早めに担当の歯科医師に状態を伝えて指示を受けるようにしましょう。

治療計画の見直しが必要になる場合がある

マウスピースの破損が繰り返されたり、歯の動きにズレが生じたりした場合は、治療計画の見直しが必要になるケースがあります。

見直しの際は、あらためて口内のスキャンやレントゲン撮影を行い、現在の歯の状態に合わせてマウスピースを一から作り直す流れになります。再検査から新しいマウスピースが届くまでには数週間〜1か月程度かかることもあるため、その分だけ治療期間が延びてしまうでしょう。

日頃から歯ぎしり・食いしばりの対策に取り組みつつ、定期通院のなかでマウスピースの状態を歯科医師にチェックしてもらうことが大切です。

まとめ

程度が軽ければインビザライン治療は問題なく進められるため、歯ぎしりや食いしばりの癖があるからといって、インビザライン治療を諦める必要はありません。

また、歯ぎしり・食いしばりが強い方であっても、セルフケアや歯科医院での対策を取り入れることで、リスクを抑えながら矯正治療に取り組める場合があります。不安がある方は、まず歯科医院で歯ぎしりの状態を診てもらい、自分に合った治療の進め方を相談するところから始めてみましょう。

福岡市早良区のShiro矯正歯科では、精密検査にもとづいた診断を行い、歯ぎしりや食いしばりの程度も考慮しながら、一人ひとりに合った矯正治療を提案しています。インビザラインだけでなく、必要に応じてワイヤーなど他の装置と併用する柔軟な対応も可能です。

当院では相談・検査・診断までを無料で行う矯正相談を実施しています。歯ぎしりが気になる方も、まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
shiro_kyousei
Shiro矯正歯科 院長
秦 省三郎

資格
・日本矯正歯科学会認定医
・博士(歯学)

所属学会
・日本矯正歯科学会
・九州矯正歯科学会
・日本アライナー矯正歯科研究会
・日本先進矯正歯科学会

著書
・チェアサイド・ラボサイドの新矯正装置ビジュアルガイド(医歯薬出版株式会社)
・矯正歯科治療 この症例にこの装置 第2版(医歯薬出版株式会社)

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