矯正歯科を選ぶ際、「どの歯科医院を選べばよいのか分からない」と悩む方は少なくありません。矯正歯科の分野では、学会や団体が定めた資格制度が設けられており、一定の知識や臨床経験を持つ歯科医師に認定資格が与えられています。資格の有無は、矯正歯科医を選ぶ際の参考になるでしょう。
この記事では、矯正歯科の資格制度について詳しく解説します。資格制度の特徴や種類、矯正歯科選びで重視すべきポイントなどもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
日本矯正歯科学会の資格認定制度
日本矯正歯科学会では、矯正歯科の知識や経験を一定の基準で評価するために資格認定制度を設けています。主な資格は以下の4つです。
- 認定医
- 専門医
- 研修指導医
- 臨床医
ここでは上記4つの資格の特徴についてそれぞれ解説します。
認定医
認定医は、矯正治療に関する基本的な知識と技術、そして一定の臨床経験を持つ歯科医師であることを示すものです。
認定医になるためには、学会が指定する研修施設で基本研修と臨床研修を受け、合計5年以上の研修を修了する必要があります。さらに診療実績や学術活動の実績なども求められ、症例審査に合格することで認定されるのが特徴です。
また、認定医は5年ごとに資格更新があり、研修単位の取得や症例報告などの更新審査に合格する必要があります。
専門医
専門医は、矯正歯科領域における診断や治療、治療後の管理に関して、より高度な知識と技術を持つ歯科医師に与えられる資格です。認定医の資格を取得したうえで、さらに専門性を高めた歯科医師が対象となります。
専門医になるためには、認定医としての実績に加えて、診療活動や学術活動の実績、研修単位の取得などの条件を満たす必要があるのが特徴です。
資格審査では筆記試験と症例審査が行われ、それらに合格することで専門医として認定されます。また、認定医と同様に5年ごとに更新審査があり、診療活動や学術活動、研修単位取得の実績が求められるほか、更新症例審査に合格する必要があります。
研修指導医
研修指導医は、矯正歯科医を育成する立場の歯科医師に与えられる資格です。
日本矯正歯科学会の資格制度の中でも、教育や指導の役割を担う重要な資格となります。この資格を取得するためには、まず専門医の資格を持っていることが前提となります。
そのうえで、日本矯正歯科学会の会員として12年以上在籍していることや、指導者講習会の受講、研修指導医にふさわしい学術活動の実績などが求められるのが特徴です。
これらの条件を満たしたうえで資格審査に合格すると、研修指導医として認定されます。若い矯正歯科医の教育や研修に関わる役割を担うため、豊富な臨床経験と高い専門知識を持つ歯科医師が対象となります。
臨床医
臨床医は、矯正歯科の診断や治療、治療後の管理において高い臨床能力を持つ歯科医師に与えられる資格です。
以前は『臨床指導医』と呼ばれていましたが、現在は『臨床医』という名称になっています。臨床医になるための条件は、まず認定医の資格を取得していることです。
そのうえで、診療実績や学術活動の実績が求められ、症例審査に合格することで認定されます。また、臨床医も他の資格と同様に5年ごとの更新制度があり、研修単位の取得や症例審査に合格する必要があります。
矯正歯科選びで注目すべき認定資格
矯正歯科を選ぶ時は、歯科医師がどのような資格を持っているかを確認するとよいでしょう。注目すべき認定資格として、以下の6つが挙げられます。
- 日本矯正歯科学会の認定資格
- 日本成人矯正歯科学会の認定資格
- 日本臨床矯正歯科医会の認定資格
- 日本矯正歯科協会の認定資格
- インビザラインの認定プロバイダー
- 国際学会の認定資格
ここでは、上記6つの認定資格についてそれぞれ解説します。
日本矯正歯科学会の認定資格
日本矯正歯科学会は、日本の矯正歯科分野で代表的な学会の一つです。この学会では、矯正歯科に関する知識や臨床経験をもとに、『認定医』『専門医』『研修指導医』『臨床医』などの資格制度を設けています。
これらの資格は長期間の研修や症例審査などを経て認定されるため、矯正治療に継続して取り組んできた歯科医師であることを示す一定の信頼性のある資格といえます。
日本成人矯正歯科学会の認定資格
日本成人矯正歯科学会は、成人の矯正治療に特化した学会です。この学会では、成人矯正に関する知識と臨床経験を持つ歯科医師に認定医資格を与えています。
成人矯正では、小児矯正にはない独特の課題(外科手術を伴う治療など)に対応できる能力が必要になります。日本成人矯正歯科学会の認定資格は、大人の矯正治療に関する専門的な経験や知識を持つ歯科医師であることを示すものと認識してよいでしょう。
日本臨床矯正歯科医会の認定資格
日本臨床矯正歯科医会は、矯正治療を日常的に行っている歯科医師が所属する団体です。
この団体では、実際の診療での経験を重視しており、臨床現場で役立つ実践的なスキルを磨くことを目的としています。
日本臨床矯正歯科医会では、一定の症例経験や基準を満たした歯科医師に認定資格が与えられます。日々の診療での経験を重視している点が特徴のため、矯正治療を専門的に行っている歯科医師であるかを確認する際の一つの目安になるでしょう。
日本矯正歯科協会の認定資格
日本矯正歯科協会は、矯正歯科に関する教育活動や情報発信を行う団体です。
この団体でも、矯正治療に関する知識や経験を持つ歯科医師に対して認定資格を設けています。認定医になるためには、協会が開催する研修やセミナーを受講し、症例の提出や試験への合格などの条件を満たす必要があります。
日本矯正歯科学会ほどの厳密な基準ではありませんが、矯正治療に関する研修や症例経験を積んでいる歯科医師であることを示す指標の一つとなるでしょう。
インビザラインの認定プロバイダー
インビザラインは透明なマウスピース型装置を使った矯正治療の一つで、その治療を提供するアライン・テクノロジー社ではプロバイダー制度を設けています。
インビザラインのプロバイダー制度には、治療実績に応じていくつかのランクが設定されています。『ダイヤモンドプロバイダー』や『プラチナプロバイダー』などがあり、治療実績が多いほど高いランクになる仕組みです。
このランクはインビザライン治療の経験数を示す指標になるため、インビザラインによる矯正治療を受けたい場合は参考にするとよいでしょう。
国際学会の認定資格
矯正歯科の分野では、日本国内だけでなく海外の学会が認定する資格を持つ歯科医師もいます。代表的な海外の学会は、『アメリカ矯正歯科学会(AAO)』や『ヨーロッパ矯正学会(EOS)』です。
これらの学会は国際的に活動しており、海外の矯正歯科医が参加することも多い団体です。ただし、日本とは治療方針が異なる場合があるため、資格だけで判断しないようにしましょう。
矯正歯科の認定医がいる医院を選ぶメリット
矯正歯科の認定医を選ぶメリットとして、主に以下の3つが挙げられます。
- 的確な診断と治療が期待できる
- 難しい症例にも対応できる
- 審美性と機能性の改善が期待できる
ここでは、上記3つのメリットについてそれぞれ解説します。
的確な診断と治療が期待できる
矯正治療は歯の位置だけでなく、顎の骨格や噛み合わせのバランスなど、さまざまな要素を考慮する必要があります。
認定医は、矯正歯科の研修や臨床経験を積みながら知識を身につけているため、口腔内の状態の総合的かつ的確な診断、治療が期待できます。また、患者さんの希望やライフスタイルも踏まえたうえで、治療計画を立てられるのも大きな特徴です。
認定医がいる矯正歯科を選ぶことで、自分に合った矯正治療を受けやすくなるでしょう。
難しい症例にも対応できる
認定医のいる医院を選ぶことで、難しい症例にも対応できる可能性が高まります。
矯正治療では、歯並びの状態によって治療の難しさが大きく変わります。例えば、受け口や開咬、顎の骨格のズレがあるケースなどでは、専門的な知識や経験をもとにした診断・治療が必要です。
認定医はさまざまな症例を経験しながら研修や審査を通過しているため、複雑なケースにも対応できる可能性があります。また、治療の途中で歯の動きが想定と異なった場合でも、豊富な経験を活かして臨機応変に対応することが可能です。難しい症例に対しても冷静かつ適切な判断を行いやすい点は、認定医がいる医院の特徴の一つといえるでしょう。
審美性と機能性の改善が期待できる
矯正治療は、歯並びを整えることで見た目を改善するだけでなく、噛み合わせなどの機能面にも関わる治療です。そのため、歯並びの美しさと口腔機能のバランスを考えながら治療を進めることが大切です。
矯正歯科学会の認定医は、審美性と機能性の改善に重きを置いた基準をクリアしている医師のため、歯並びをきれいに整えるだけでなく、噛み合わせや咀嚼のしやすさなども含めて総合的に考えた治療計画が期待できます。
矯正歯科の認定医が在籍する医院を選ぶことで、審美性と機能性の両方を考慮した治療を目指せるでしょう。
矯正歯科選びで重視すべきポイント
矯正歯科選びでは、以下のポイントを重視することが大切です。
- 認定医・専門医資格を持つ医師が在籍しているか
- セファログラムが導入されているか
- 治療計画や費用の説明が丁寧か
- 矯正医やスタッフの人柄
- 通いやすさ
ここでは、上記5つのポイントについてそれぞれ解説します。
認定医・専門医資格を持つ医師が在籍しているか
矯正歯科を選ぶ際は、認定医や専門医などの資格を持つ歯科医師が在籍しているかを確認しましょう。これらの資格は、矯正歯科の知識や臨床経験など一定の基準を満たした歯科医師に与えられるものです。
資格を持っている歯科医師は、矯正治療に継続して取り組んできた経験と実績があると判断できます。ただし、資格だけで治療の質が決まるわけではないため、カウンセリングでの説明内容や治療方針なども合わせて確認することが大切です。
セファログラムが導入されているか
矯正治療では、歯並びだけでなく顎の骨格や歯の角度などを詳しく調べることが大切です。その際に用いられる検査の一つが、セファログラム(頭部X線規格写真)です。
セファログラムを撮影すると、上下の顎の位置関係や歯の傾き、顔全体のバランスなどを正確に分析できます。
矯正歯科専門医院では導入されていることが多い設備ですが、一般歯科では導入されていない場合もあります。より正確な診断を行うためにも、セファログラム分析を行っている矯正歯科を選びましょう。
治療計画や費用の説明が丁寧か
信頼できる矯正歯科では、治療を始める前に治療計画や費用について丁寧に説明してくれる場合が多いです。矯正治療は長期間にわたるため、内容をしっかり理解したうえで治療を開始することが大切です。
治療期間の目安や使用する装置、抜歯の有無、費用の内訳などについて説明があるかを確認しましょう。また、治療中に追加費用が発生する可能性があるかどうかも大切なポイントです。納得できる説明があり、信頼できる矯正歯科を選びましょう。
矯正医やスタッフの人柄
矯正治療を始めると長期間通院することになるため、歯科医師やスタッフの人柄も大切なポイントです。
治療中は、装置による違和感や痛みなどについて相談する場面が出てくることがあります。その際に、質問しやすい環境であると安心して治療を続けやすくなります。
初診相談やカウンセリングでは、説明の分かりやすさや対応の丁寧さなども確認してみましょう。スタッフの対応も含めて、通いやすい雰囲気の矯正歯科を選ぶことが大切です。
通いやすさ
矯正治療では定期的に通院する必要があるため、通いやすさも重視して選びましょう。
一般的に月に1回程度の通院が必要になることが多く、装置のトラブルなどがあった場合には、すぐに受診しなくてはいけないこともあります。そのため、自宅や学校、職場から通いやすい場所にある矯正歯科を選ぶのがおすすめです。
また、予約の取りやすさや診療時間も確認しておくとよいでしょう。通いやすい矯正歯科を選ぶことで、矯正治療を無理なく続けられます。
まとめ
矯正歯科の資格には、日本矯正歯科学会をはじめとする学会や団体が認定するさまざまな種類があります。
これらの資格は、矯正歯科に関する知識や臨床経験を一定の基準で評価するために設けられており、歯科医師の専門性を判断する際の参考になります。ただし、資格の有無だけで治療の良し悪しが決まるわけではありません。矯正歯科を選ぶ際は、認定資格の有無に加えて、精密検査の設備や治療計画の説明、通いやすさなども含めて総合的に判断することが大切です。
Shiro矯正歯科は藤崎駅徒歩4分・西新駅近く、通いやすい矯正専門の歯科医院です。予約制の矯正相談も行っているため、矯正治療を検討中の方はぜひ当院までご相談ください。



