マウスピース矯正は、目立ちにくく、取り外しができる矯正方法として多くの人に選ばれています。しかし、すべての人にとって最適な治療方法とは限りません。メリットだけでなく、いくつかのデメリットや注意点があることも知っておく必要があるでしょう。
この記事では、マウスピース矯正のデメリットについて詳しく解説します。マウスピース矯正での治療が難しい症例やメリットなどもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
マウスピース矯正の8つのデメリット
マウスピース矯正の主なデメリットとして、以下の8つが挙げられます。
- 1日20時間以上の装着が必要
- 定期的なお手入れが必要
- マウスピースの紛失・破損リスクがある
- 難しい症例には適応できない
- 歯を削る場合がある
- 奥歯の噛み合わせに違和感が生じることがある
- 歯根が露出することがある
- 基本的に保険が適用されない
ここでは、上記8つのデメリットについてそれぞれ解説します。
1日20時間以上の装着が必要
マウスピース矯正は1日20時間以上の装着が必要です。食事や歯磨きのときは取り外せますが、それ以外の時間は基本的に装着して過ごす必要があります。
取り外しができるのは大きなメリットですが、装着時間が不足すると歯が計画通りに動きにくくなり、治療期間が長引く可能性がある点には注意が必要です。そのため、自己管理が重要な治療方法といえます。
定期的なお手入れが必要
マウスピースは唾液や食べかすなどが付着しやすいため、定期的なお手入れが必要です。そのまま使用すると細菌が増えやすい環境になり、お手入れを怠ると虫歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。
また、マウスピースの臭いや着色、口臭の原因になることもあります。そのため、毎日の歯磨きだけでなく、マウスピース自体も水洗いや専用の洗浄剤などで清潔に保つことが大切です。手間に感じるかもしれませんが、健康的な口腔環境を維持するためにも、正しいケアを続ける必要があります。
マウスピースの紛失・破損リスクがある
マウスピース矯正では、食事や歯磨きのたびに装置を取り外すため、外したときに紛失したり、うっかり捨ててしまったりするリスクがあります。
特に外出先で食事をした場合、ティッシュに包んだまま処分してしまうなどのトラブルが起こることもあります。また、強い力が加わると破損する可能性がある点にも注意が必要です。万が一紛失や破損をした場合、新たにマウスピースを作り直す必要があり、数万円程度の追加費用がかかります。
紛失・破損を防ぐためには、マウスピース専用ケースに入れて保管するなど、日頃から管理を徹底することが大切です。
難しい症例には適応できない
マウスピース矯正は幅広い歯並びに対応できる治療方法ですが、すべての症例に適応できるわけではありません。
歯を大きく動かす必要がある場合や、重度の噛み合わせの問題がある場合などでは、治療が難しいケースがあります。また、骨格的な問題がある場合や外科手術が必要な場合、インプラントが多く入っている場合なども、マウスピース矯正では治療が難しい可能性があります。
そのため、矯正治療を検討する際には、事前に精密検査を受けて歯科医師の診断を受けることが大切です。場合によっては、ワイヤー矯正など別の方法を提案されることもあります。自分の歯並びに合った治療方法を選びましょう。
歯を削る場合がある
マウスピース矯正では、歯を動かすスペースを確保するために歯と歯の間をわずかに削る『IPR(歯間削合)』と呼ばれる処置を行うことがあります。
削る量は1か所につき0.25mm程度と非常に少なく、両隣の歯を合わせても0.5mmほどのわずかな処置であるため、歯の形が大きく変わることはほとんどありません。ただし、健康な歯を削ることに不安を感じる方もいるでしょう。治療を始める前に処置の必要性や削る量について説明を受け、納得したうえで進めることが大切です。
奥歯の噛み合わせに違和感が生じることがある
マウスピース矯正は常に歯の表面を装置が覆った状態で治療を行うため、治療中や装置を外した直後に奥歯の噛み合わせに違和感を覚えることがあります。
マウスピースが奥歯の噛む面を覆っている状態が続くと、奥歯が少し沈むような動き(圧下)が起こり、一時的に上下の歯がうまく噛み合わないことがあるのです。
ただし、この状態はずっと続くわけではなく、時間の経過とともに自然な噛み合わせに戻っていく場合が多いです。万が一、違和感が長く続く場合は、我慢せずに歯科医師に相談してみましょう。
歯根が露出することがある
マウスピース矯正では、歯を動かす過程で歯根が露出する現象が起こることがあります。
この現象は、歯を動かすときに無理な力がかかり、歯槽骨の範囲を超えて歯が移動してしまったり、治療計画と実際の歯の動きにズレが生じたりすることで起こるものです。
また、矯正治療だけでなく、加齢や強いブラッシング、歯周病などが影響して起こるケースもあります。歯根の露出リスクを抑えるためには、治療前に精密検査を行い、歯や骨の状態を確認したうえで適切な治療計画を立てることが大切です。
基本的に保険が適用されない
マウスピース矯正は、基本的に健康保険が適用されない自費診療の治療です。
健康保険が適用できるのは病気やケガなどの治療のみとなっており、見た目の改善を目的とした歯列矯正は原則として保険の対象外とされています。そのため、治療費はクリニックや使用する装置の種類によって大きく異なります。
治療内容によっては費用が高額になることもあるため、事前に費用の総額や支払い方法を確認しておくことが大切です。分割払いや医療ローンに対応している歯科医院もあるため、無理のない支払い計画を立てながら治療を検討するとよいでしょう。
マウスピース矯正で治療が難しい症例
マウスピース矯正は軽度から中等度の歯並びの乱れに適した治療方法です。そのため、以下のような症例では治療が難しい可能性があります。
- 重度の不正咬合のケース
- 外科手術が必要なケース
ここでは、上記2つの症例についてそれぞれ解説します。
重度の不正咬合のケース
重度の不正咬合とは、上下の歯の噛み合わせや歯並びに大きな乱れがある状態のことです。例えば、歯が強く重なっている重度の叢生(そうせい)や、上の歯が大きく前に出ている出っ歯、下の歯が前に出ている受け口などは、治療の難易度が高くなります。
これらの症例では歯を大きく動かす必要があるため、マウスピース矯正では十分な治療効果が期待できません。この場合はワイヤー矯正など別の矯正方法を提案されることが多いですが、最後の仕上げとしてマウスピース矯正の併用が検討されることもあります。
重度の不正咬合がある場合は、歯科医師と相談しながら矯正方法を決めることが大切です。
外科手術が必要なケース
歯並びだけでなく、顎の骨格に問題がある場合は、マウスピース矯正だけでは改善が難しい可能性が高いです。顎の骨の位置や大きさにズレがある場合は、外科手術を併用した矯正治療が必要になることがあります。
例えば、上下の顎の位置が大きくズレている場合や、顎の発達に問題がある場合などは、歯だけを動かしても理想的な噛み合わせにならないことがあります。このようなケースでは、顎の位置を整える外科手術と矯正治療を組み合わせて行う場合が多いです。
治療が可能かどうかは、レントゲンやCTなどの検査を行ったうえで判断されます。まずは歯科医院で診察を受け、自分の歯並びに合った治療方法を確認することが大切です。
マウスピース矯正の5つのメリット
マウスピース矯正の主なメリットとして、以下の5つが挙げられます。
- 矯正装置が目立ちにくい
- 普段通りの食事や歯磨きが可能
- 口腔内を清潔に保ちやすい
- 痛みや違和感が少ない
- 定期的な通院が少ない
ここでは上記5つのメリットについてそれぞれ解説します。
矯正装置が目立ちにくい
マウスピース矯正では透明で薄い装置を使用するため、矯正装置が目立ちにくいメリットがあります。
ワイヤー矯正のように金属の装置が見えることがないため、人と話す機会が多い仕事の方や、見た目を気にする方でも治療を始めやすいでしょう。また、笑ったときや会話中でも矯正装置が目立ちにくいため、矯正中であることを意識する場面が少なく、普段通りの生活を送りやすい点もメリットといえます。
普段通りの食事や歯磨きが可能
マウスピース矯正の大きな特徴は、装置を取り外せることです。
食事のときはマウスピースを取り外せるため、基本的に食べ物の制限が少なく、普段通りの食事を楽しめます。また、歯磨きも装置を外して行えるため、普段と同じように歯を磨くことができます。普段通りの食事や歯磨きができる点は、マウスピース矯正の大きなメリットといえるでしょう。
口腔内を清潔に保ちやすい
マウスピース矯正は装置を取り外せるため、口腔内を清潔に保ちやすいメリットがあります。
ワイヤー矯正は装置が歯に固定されているため、普段よりも歯磨きが難しくなりますが、マウスピース矯正では普段通り歯磨きできるため、虫歯や歯周病の予防がしやすい傾向にあります。さらに、マウスピース自体も洗浄できるため、装置と口腔内の両方を清潔に保ちやすい点もメリットです。
痛みや違和感が少ない
マウスピース矯正は薄く透明な装置を使用するため、口腔内を傷つけにくい特徴があります。ワイヤーや金属の装置がないため、頬や舌に当たる違和感が少ないと感じる方も多いです。
また、歯を少しずつ動かす設計になっているため、歯にかかる力が比較的穏やかであることも大きな特徴です。そのため、ワイヤー矯正と比べると矯正中の痛みが少ないメリットがあります。
個人差はありますが、装着時の痛みや不快感が少ないことから、初めて矯正治療を受ける方にも選ばれることが多い治療方法です。
定期的な通院が少ない
マウスピース矯正では、あらかじめ複数枚のマウスピースが作成され、それを順番に交換しながら治療を進めていきます。そのため、ワイヤー矯正のように頻繁な調整が必要ない場合が多く、通院回数が比較的少ない点が特徴です。
一般的には2~3か月に1回程度の通院で治療経過を確認するケースが多いため、忙しい方でも通院の負担が少なく、治療を続けやすい点がメリットといえるでしょう。
ただし、治療を計画通りに進めるためには、装着時間やマウスピースの交換時期など、歯科医師の指示を守ることが大切です。
マウスピース矯正に関するよくある質問
マウスピース矯正に関するよくある質問をまとめました。
- マウスピース矯正で失敗することはある?
- マウスピース矯正とワイヤー矯正の併用は可能?
ここでは、上記2つの質問についてそれぞれ解説します。
Q:マウスピース矯正で失敗することはある?
マウスピース矯正でも、治療計画通りに進まないケースがあります。特に多い原因として挙げられるのが、装着時間が不足してしまうことです。
マウスピース矯正では1日20時間以上の装着が必要で、装着時間が短いと歯が予定通りに動かない場合があります。また、矯正治療が終わった後に保定装置を正しく使用しないと、歯が元の位置に戻ってしまう『後戻り』が起こる可能性があります。
このような失敗を防ぐためには、歯科医師の指示に従って装置を正しく使用することが大切です。矯正中に違和感やトラブルが生じた場合は、そのままにせずに早めに歯科医師に相談しましょう。
Q:マウスピース矯正とワイヤー矯正の併用は可能?
マウスピース矯正とワイヤー矯正は、症例によって併用することも可能です。マウスピースだけでは歯を大きく動かすことが難しい場合、ワイヤー矯正を取り入れることで治療を進めやすくなることがあります。
例えば、重度の受け口や重度の出っ歯、重度の叢生などの症例では、最初にワイヤー矯正で歯を動かし、その後にマウスピース矯正で細かい調整を行うといった流れで治療が行われることがあります。
歯科医師と相談し、自分の歯並びに合った治療計画を立てることが大切です。
まとめ
マウスピース矯正は装置が目立ちにくく、取り外しができるメリットがある人気の矯正治療です。しかし、自己管理が必要な点や歯並びの状態によっては治療が難しい点などのデメリットもあります。
また、基本的に保険が適用されない自費診療となるため、費用面についても事前に確認しておくことが大切です。矯正治療を行う際には、今回解説したようなメリット・デメリットも理解したうえで、自分に合った方法を選びましょう。
Shiro矯正歯科では、マウスピース型矯正装置『インビザライン』をメインに矯正治療を提供しています。矯正に特化した歯科医師による個別矯正相談も行っているため、マウスピース矯正を検討中の方はぜひ当院までご相談ください。



